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病気いろいろ(外科編)

ここでは主に外科の疾患、つまり治療として手術が選択肢となる疾患について、外科イラスト.jpg
その病態、症状、手術適応、手術手技などのお話しいたしましょう。
(ここで述べる手術手技は一般的なお話です。すべての外科手術が当院で可能なわけではありません。当院では施行できない手術についてはしかるべき施設へご紹介させていただきます。)

①巻き爪(陥入爪甲)

まずは当院でも処置が可能な疾患から・・・
主にアシの爪にみられる疾患です。母趾(足の親指)の内側に好発します。
爪の縁が巻き込むように変形し、指の皮膚に食い込み痛みが生じます。
炎症・感染を伴うと発赤・腫脹が生じて痛みが増強したり膿がでたりします。
色々な原因が考えられますが爪の縁の切り過ぎ(いわゆる深爪)を繰り返すことなどがその一因と考えられています。
治療法も色々あり、応急的に食い込んでいる爪を切ったり、食い込んでいる部分に脱脂綿をつめたりする場合もあります。
爪の変形を矯正するために形状記憶のワイヤを使用することもありますが根治性を
追求する場合は巻き込んでいる爪を切除しその根元にある爪母の処置をする必要があります。爪母の処置は削り取ったりフェノールという薬剤で焼灼したりします。
麻酔は指の根元に局所麻酔薬を注入し神経を痺れさせる麻酔(オベルスト法)で行いますので外来通院での治療が可能です。
ただ、指という場所は非常に鋭敏な部位ですので術後数日間は痛みを伴いますので鎮痛剤の内服が必要となる場合が多いです。IMG_0002_NEW.jpg(画像:ノバルティスファーマ提供)

②爪白癬症

これも爪の疾患ですがこちらは外科疾患というよりは皮膚科疾患に入るかもしれません。最近、テレビのコマーシャルでもやっているので認知度があがってきていますが
いわゆる”爪の水虫”です。
足の指の間の水虫や股の間の水虫は塗り薬でも治療可能ですが爪白癬の治療は内服薬による治療が原則です。原因の白癬菌が爪の組織内に入り込むため、塗り薬では薬液が十分に届かないケースが多いのです。
現在、爪白癬に対して日本で使用可能な薬剤は二種類で概ね6ヶ月連日投与する場合と月に一週間だけ多めの量の内服をする場合があります。いずれも他の薬との相互作用や肝機能傷害などの副作用の早期発見のため、医師の診察、定期的な採血が不可欠です。爪白自体は痛みやかゆみといった症状に乏しく、放置されがちですが他の爪や全身に広がったり周囲の人に感染することがあるのできちんとした治療が必要です。ひょっとして?と思われた方はご相談ください。

③胆石症(治療編)

ここでは胆石症の治療について述べます。症状など基本的なことは消化器編の胆石の項をごらんください。
治療は原則として内服治療または手術のどちらかになります。
手術治療を選択するかどうかの判断の大きな決め手は症状の有無です。
まったく症状がなく、血液検査でも肝機能障害も見られない場合は手術をせずに腹部エコーなどで定期的に経過観察することが多いです。
内服治療では胆汁の流れを良くするようなお薬を飲んで胆石が溶けることを期待します。ただ、石の成分によって溶解する確率は違います。一般的に石灰成分の乏しいタイプの石が最も溶解する確率が高いといわれていますがそれでも30〜40%程度です。
症状を有するような胆石症は手術の適応と考えられています。
手術はただ石を摘出するだけではなく、胆のう自体を摘出します。
以前はすべてお腹を大きく切開して胆のうを摘出していましたが、20年ほど前よりお腹に小さなキズを何カ所か開けてカメラを挿入する腹腔鏡(ふっくうきょう)手術を行われるようになり現在では強い炎症のある例などを除きほとんどがこの手術方法で行われています。tanseki.jpg腹腔鏡下胆のう摘出術の映像(東宝塚さとう病院HPより)全身麻酔による手術ですので入院は必要ですが(欧米では日帰り手術でも行われています。)数日から一週間程度の入院期間であることが多いです。(施設により若干の違いがあります。)胆のうを切除しても問題はないのですか?とよく質問されますが基本的にはほとんど問題はありません。胆汁の貯蔵ができなくなるので術後一時的に消化機能が落ちたり、軟便ぎみになったりする方がおられますがしばらくすると胆のうの繋がっていた胆管(総胆管)が広くなって機能を補うようになり、症状は改善します。
人間のからだってよくできてますよねぇ

④虫垂炎

俗にいう”盲腸”ですが正式には虫垂炎といいます。
胃から続く小腸は右の下腹部で大腸になりますが大腸の一番最初の部分を盲腸と呼びます。この盲腸から細い腸の突起が飛び出ており、これを虫垂突起といいます。通常は直径5〜10mmの突起で芋虫みたいなのでこの呼名があります。ここが炎症を起こして腫れ上がるのが虫垂炎です。典型的な症状は右の下腹部痛で、それもみぞおちの痛みが徐々に右下に移動するというのが教科書的な症状です。その他にも発熱や吐き気などが現れます。触診で右下腹の圧痛や反跳痛(おなかを押さえて放した時にでる痛み)があると虫垂炎が疑われます。診断には腹部エコーが有用で腹部エコーで虫垂が描出されれば診断できます。炎症の程度によってカタル性、蜂窩織炎性、壊死性と分類され、カタル性の場合は抗生剤で炎症を抑える(俗にいう”盲腸を散らす”)ことも可能ですが壊死性の場合は手術が必要です。蜂窩織炎性の場合は抗生剤で治る場合もありますが壊死性に移行することもあるのでケースバイケースになることが多いです。
手術は施設にもよりますが胆石と同じように腹腔鏡で行われる施設が増えてきており、腹膜炎などを伴わなければ比較的早期に退院可能です。

腹腔鏡下虫垂切除術の動画はこちらのサイトからご覧頂けます。

http://www.marianna-u.ac.jp/toyoko/diagnosis/digestive_organs/digestive_organs_03.html

⑤胃癌

これまで日本人の癌別死亡率ではトップ3に入る疾患です。
生活習慣の変遷や検診の普及による近年、減少傾向にありますがそれでも胃癌で亡くなる方は男性で2位、女性では1位(いずれも2004年)です。性別では女性よりも男性のほうが発生率が高く、塩分摂取量との関連性やピロリ菌との関連性が論じられています。がん細胞は胃の内側の表面の粘膜より発生し、何年もかかって徐々に大きくなってきます。粘膜内を水平方向に進展すると同時に垂直方向にも進展していき、粘膜下層、筋層へと浸潤していきます。粘膜下層を越えると血管やリンパ管に浸潤していき、周辺のリンパ節や肝臓、肺といった離れた臓器への転移(遠隔転移)をきたします。
初期症状はあまりなく、あっても胃炎や胃潰瘍の症状に似ています。進行してくると食事が摂れなくなったり嘔吐、貧血の進行、吐血・下血などの症状がでてきます。
粘膜内の病変であれば内視鏡(胃カメラ)を用いて切除することもできますが粘膜下にまで進展しているものや大きさが大きいものは外科的切除が必要になります。
切除する範囲は病巣の大きさや位置により決まります。近年、比較的早期の症例に対しては腹腔鏡を使用した手術も行われています。
術後は進行度に合わせて術後の化学療法を行う場合があります。

⑥乳がん

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30〜50歳代の女性の死因のトップを占める疾患で年間約1万人の方がこの病気で亡くなられます。近年、増加傾向にあり、欧米化した生活習慣、晩婚化、少子化などがその要因と考えられています。主な症状は乳房のしこり、乳首からの血性分泌などですが、まったくしこりを作らないタイプのものもあります。診断には触診、エコー検査、レントゲン(マンモグラフィー)などが有用ですが診断の確定にはしこりを切除したり針で突いて組織や細胞を採取することが必要です。早期発見による生存率は95%以上と高いため、検診受診や自己検診による早期発見が治療には重要です。以前は乳房を全て切除する手術が一般的でしたが近年ではしこりの部分の切除と腋(わき)の下のリンパ節の廓清を行う術式が主流です。ホルモンに対する感受性が高い疾患で術後はその感受性によってホルモン療法や化学療法が行われます。