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病気いろいろ(消化器科編)

消化器ってなんでしょう?火を消す赤いやつ?
それはしょうかきでも消火器、一字ちがいですが・・・
消化器とは食べ物の消化に関する臓器のことをいいます。
食べ物は口から入って喉を通り食道から胃、十二指腸、小腸、大腸を通り抜けて
肛門に達します。この一連の臓器は消化器のなかでも消化管と呼ばれています。
それ以外に消化に関与する臓器として肝臓や胆のう、膵臓などがあります。
なのでひとくちに消化器といってもとても広範囲に及んでいます。
ここではそんな消化器に関する病気に関して述べていきましょう。

①胃潰瘍/十二指腸潰瘍

こちらも大変ポピュラーな病気ですよね。
胃は口から入った食べ物を最初に貯めるタンクの役割をします。
それと同時に胃酸などの消化液を分泌し食物を消化しやすい状態に変えていく
役割も担っています。胃酸というのはいわゆる塩酸と同じもので強い酸性の
液体です。胃はこの自分が出す酸から自分の粘膜を守るために粘液などの防御因子と
呼ばれる液体も同時に分泌します。
この酸(攻撃因子といいます)と防御因子のバランスがうまくとれていると胃の
粘膜は正常な状態を保てるのですがなんらかの原因でこのバランスが崩れた時に
胃や十二指腸の粘膜の傷害が起こります。傷害が粘膜の層までであれば胃炎やびらんといった状態になるのですが傷害が粘膜を越えてその下の層(粘膜下層や筋層)に
まで達し粘膜が欠損した状態に陥るのが潰瘍です。zoki_008.gif
この攻撃と防御のバランスを崩させる要因として
食事(刺激物やコーヒー、アルコールなど)や喫煙、ストレス、薬剤(鎮痛剤など)
睡眠不足などが挙げられます。
また、近年では胃の中に生息しているピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という
菌が胃炎や潰瘍、ひいては癌の発生に関与していることが判ってきました。
症状としてはみぞおちの痛みや不快感、胸焼け、吐気、膨満感などが挙げられますが
出血や穿孔(穴があく)をおこすと血を吐いたり真っ黒な便(タール便といいます)
が出たり、急激な腹痛が起こったりすることがあります。
ただし、胃癌の場合でも同様の症状がみられますのでこのような症状が有る場合は
胃カメラなどの精密検査が必要です。
以前はひどい潰瘍の場合、手術で胃を切ったりしていましたが胃酸を強く抑える薬や
粘膜を保護する薬がたくさん開発されほとんどは薬物治療で改善します。
また、ピロリ菌に対しても複数の抗菌剤を一週間内服する治療
(ピロリ菌の除菌治療)というのを行い、胃潰瘍の再発予防に役立っています。

②逆流性食道炎

最近、あまり見なくなりましたが某ヒューマンヘルスケアな会社がアトムをキャラクターにして啓発してましたね。
食道ってどこにあるのでしょう?
食道は口と胃の間の長い廊下のような臓器です。つまり胃の上、胸の真ん中を通っています。胃と食道の繋ぎめは本来逆流が起こりにくように少し締まっています。
これが胃の内側の圧力が高くなるような状態(例えば暴飲暴食や肥満、寝る前の食事など)
暴飲イラスト.png
が続いたり加齢によって筋肉が緩んで締まりが悪くなってくると胃の内容物の逆流が起こります。胃の内容物には胃酸が含まれていて強酸性です。前の胃潰瘍の項でも述べましたが胃の粘膜は自らが分泌する粘液で酸に対する保護作用がありますが食道の粘膜にはそのような作用はありませんから粘膜が傷ついてしまいます。
これによって、胸焼けや胸やのどのつかえた感じ、胸の痛みなどを生じます。
胸の痛みはしばしば狭心症や心筋梗塞の症状と間違われたりします。
治療方法はまずは日常生活習慣の改善と胃酸を抑える内服薬の服用などです。
胃カメラで胃と食道のつなぎ目が白くなっていたり粘膜が荒れていたりしていると逆流性食道炎と診断されます。
現在は大変、効果的なお薬が開発されておりますので上記のような症状の方は一度、ご相談ください。

③胆石症(病状編)

よく尿管結石と間違われがちな疾患です。エコーイラスト.png
胆石とは胆のうという袋に石が出来る病気です。
では胆のうって??
肝臓で作られた消化液(胆汁)は胆管という管を流れて胃のむこうにある十二指腸という消化管に流れます。しかし消化液ですから食べ物が通っていない時に流れても効率が悪いですよね。なのでこの胆汁を貯蔵して効率よく使うためのタンク、これが胆のうです。
胆のうは肝臓の下にぶら下がった臓器でみぞおちの右あたりにあります。
食事をすると食べ物が通過していることが神経やホルモンの作用で胆のうに伝わり、胆のうが収縮を起こし、中に貯められていた胆汁が押し出されます。
加齢などにより胆のうの収縮力が落ちたり、食事の内容で胆汁の成分が析出しやすい状態になったりすると胆のうの中に泥(胆泥)や砂(胆砂)が生じ、胆石が形成されて行きます。石ができるだけで症状がない場合もありますが石が胆のうの入口にはまり込んだり、胆管に落ち込んだり、感染を伴ったりすると痛み、発熱、吐き気、黄疸(おうだん)などの症状が現れます。症状がある場合や肝臓の機能障害を伴う場合は手術の適応となります。診断には腹部エコーや腹部CTが有用ですがまずは簡便で放射線被爆のない腹部エコーで診断をつけることが多いです。
(治療については外科編へ)

④大腸憩室症

レントゲンイラスト.png
比較的よくみられる疾患ですが、名前だけ聞くとなんの病気なの??と思う方も多いのではないでしょうか?憩室症というのは食道から大腸までの消化管にみられます。消化管の壁は主に粘膜と平滑筋という筋肉(筋層)により構成されています。その筋層の弱い部分がポコッと飛び出たようになっているのが憩室です。これが先天的または後天的に大腸に見られるのが大腸憩室症です。後天的な憩室の発生要因としては便秘などによる腸管内の圧力の上昇が挙げられます。一般的に日本人ではS状結腸などの左側大腸に多く、欧米人では右側大腸に多いとされてきましたが食生活・日常生活習慣の欧米化でこの差はなくなりつつあるようです。
憩室の存在自体は特に健康に悪影響を及ぼしませんがS状結腸などに多発すると大腸の柔軟性が損なわれ、便秘の一因にもなり得ます。
また、憩室内に便が溜まったりして炎症を起こしたり(憩室炎)、出血をおこしたり、穴があいたり(憩室穿孔)すると治療が必要となります。
診断には大腸ファイバーもしくは注腸透視(肛門からバリウムを注入するレントゲン検査です)が有用です。

⑤過敏性腸症候群

(鋭意作成中)